共同通信の世論調査で、女性天皇を支持すると答えた割合が8割だったそうだ。この場合の女性天皇は愛子天皇を指しているのだろう。
他社の世論調査と結果がかけ離れているから、どういう質問をしたのかと不思議だ。調査結果を頭から信じるわけにはいかない。
というのは、共同通信は設立当時から問題がある通信社だったからだ。
戦前、共同通信は時事通信、電通と同じ一つの会社で、同盟通信という国策会社だった。それが戦後、占領軍によって三つの会社に分割された。
マスコミへの配信は共同、企業や官公庁へは時事、広告宣伝は電通と役割分担をさせられた。同盟通信は国策によって作られた情報機関だったから、目の敵にされたのである。
分割後、共同の新聞社向け配信がセンセーショナルすぎるとさまざまな批判が巻き起こり、時事に新聞へのニュース配信が求められた。
手元に、時事通信社五十年史がある。それによると、当時の時事通信の長谷川才次社長が共同通信の松方三郎理事長代理と会談、記事配信の棲み分けの紳士協定の解消で合意した。
その席上、松方は「共同では共産党の勢力が強く・・・、ニュース配信が止まれば新聞社が困るので、時事が進出する方がいい」と話したことが明記されている。
発足当時から共同通信に共産党が食い込み、偏向報道を行ってものらしい。
そういう前提を元に現在の天皇報道を考えると、愛子天皇期待論素直に信じるわけにはいかない。そこには隠された意図があるとしか思えない。
日本共産党は過去のテーゼで「天皇制廃止」を打ち出し、今も否定していない。
男系を否定し女系に移れば、天皇家の男子の血筋が絶える。皇統が断絶するのである。だから、共産党は女系女性天皇の誕生を狙う。
愛子内親王は男系女子だが、適齢期になれば結婚相手を探すことになる。それが元皇族なら問題ではないが、一般人と結婚、男子が誕生すれば、その子に天皇家の男系の血筋は伝わらず、女系となる。前に述べたように、女系天皇は存在しないから、非男系と言うべきだろう。
その子が天皇になれば、神武天皇以来の男系の血筋が絶え、男系の皇統は断絶する。
そうなると、天皇の権威を失墜させるため、皇統は断絶したと大衆煽動で攻撃の標的にし、大衆革命、市民革命がやりやすくなる。
革命までいかなくても、女性宮家の創設は内親王方に深刻な事態をもたらしかねない。
お相手が一般人としたら、当然だが仕事を持っている。お相手は宮家から職場に通うのだろうか。それとも退職して宮家で皇族の真似事 をするのだろうか。
立憲民主党の一部議員が、宮家と結婚した一般人を皇族にしろと強硬に主張し(国民民主は准皇族を主張)、有識者会議のヒアリングが紛糾したとも伝えられでいるが、いきなり一般人が皇族になったらどうなるか。
宮中祭祀、公務など戸惑うだけではすまない。精神的混乱を招くだろう。
それ以前に、宮家に婿入りするお相手が現れるかも不明だ。皇室へ入る不安、仕事を辞めて宮家の人間として生活するのは、サザエさんではないがマスオさん状態になる。
仕事を持っていれば名字はどうするのか、婿入りしたら名字はなくなるから、会社勤めできるのか、などなど日常生活に問題が起きかねない。
それらを受け入れて宮家に入る人が見つかるかどうか疑問だ。
大恋愛をして、身も心も内親王に捧げたいという男性ならともかく、そこまで熱烈な献身ができる人は多くないだろう。それも、結婚に当たっては出自や人品人柄など、内親王にふさわしいかどうか、徹底した調査・検討がなされるだろう。
小室氏と真子さんの二の舞を踏むことは、宮内庁も宮家も望まないだろうから、候補者の資格を持つ男性は、非常に少ないと言わざるを得ない。勇気を持って女性宮家に入ろうと考える適例男性がどれだけいるのか疑問しかない。。
お相手が見つかってめでたく結婚にいたっても、子供ができるとはかぎらない。子供ができない可能性は、男性皇族だけではない。内親王だって同じである。
内親王のお相手が見つからず、独身を強いられるかもしれない。そうなったら、人権蹂躙、人権侵害である。
お相手が現れず、未婚を強いられたら、そこで血筋は断絶する。それこそ、彼らが好きな基本的人権はどうなるのか。。
なぜ一般人を皇族にしなければならないのか、女系派からは明確な説明がない。男女同権だとか基本的人権だとかは、リベラル陣営が好きな耳当たりのいい言葉でしかない。説得力は皆無である。
一般人は皇統の血筋とは間違いなく遠く離れている。一般人と元皇族を比べれば、今は一般人でも、元皇族の方が天皇家の血筋に近いのは否定しようがない。
女系派は天皇に近い血筋の女性が男系男子と結婚し、双系として皇統を維持したと主張している。血筋を重視するのに、内親王のお相手についてはそれを無視するとはどういうことか。
婚姻で一般人が皇族になるより、臣籍降下した12宮家が皇籍に復帰する方が、血筋という点では天皇に近いのは言うまでもない。
女系派は12宮家が皇籍を離脱したのは、宮家側が申し入れたからだから、いまさら復帰はあり得ないというかもしれない。
だが、占領されている状態では占領軍の言いなりになるしかない。日本国憲法もそうだこが、日本側が発案したという体裁をとり、実際には裏で強制したことは明確である。
みてきたように、女系派の主張は支離滅裂、ご都合主義、歴史の歪曲、皇統断絶を狙ったとしかいいようがない。
そもそも、天皇を人気投票の対象にすべきでないのは、日本国民なら誰でも分かっているのではないか。
愛子内親王に8割の賛成があるからといって、天皇になる条件とはならない。象徴を人気投票で決めることなどできようはずがない。
さらにいえば、能力とか学力とかで決めるものでもない。
そんなことは、記事を執筆した共同通信の記者も分かっているはずである。記者がまともな判断力を持っているとしたらだが・・・。もっとも、記者はまともでも、社の方針が女系推進なら、抗うこともできないだろう。
天皇という象徴を人気投票の対象にすることが,どういう意味を持っているのか、世論調査に答えた人は分かっているのだろうか。
人気投票は象徴を、世俗の世界へ引きずり下ろすことにほかならない。天皇の存在を貶め、一般国民と同列に扱い、批判しやすくするという狙いが見え見えである。
もっか、有識者会議の提言について、衆議院は各党の意見聴取を行っている。ここでの主張をみれば、各党が皇統について何を狙っているか明確である。
共産党が女性天皇に賛成なのは、皇統断絶を狙っているから当然だが、問題なのは立憲民主党で、女性宮家の創設を強く求め、野田元総理などが配偶者を皇族にしろと強硬に主張している。
野田元総理ほどの政治家が、一般人を皇族にする意味を知らないわけがない。
皇室が一般男性を皇族にしてこなかっのは、皇統に属する男系以外が天皇になれないようにするためである。もし臣下、つまり一般人が、天皇になる野心を持ち皇族になったら、皇族内で重大な事件が起きかねない。
道鏡事件を思い起こせば、一般男性を皇族にする、あるいはしようとすることがいかに危険なことか明確ではないか。
だから皇室は、一般男性が皇族になれないよう男系という条件をつけた。女性は男性皇族との結婚で皇族になり皇后にもなれるが、男性は皇族にすらなれない。
これこそ、「女尊男卑」だと、女系派はなぜ批判しないのだろう。
天皇は男系という伝統の重大さだかここにある。
さて、女系派は男尊女卑の大陸王朝に倣って天皇は男系としたと主張しているが、本当にそうなのか? これも事実誤認ではないのか。